”透明な紙”って、なに?

”透明な紙”って、なに?

一般の方向けに、よくある質問をまとめました。
研究者の方は、末尾参照。
(2013年3月19日、一部書き換えました。)

Q1.透明な紙って、何?

これが、「透明な紙」です。
木材(セルロースナノファイバー)から作りました。
厚みは、30ミクロンです。、サランラップ(約10ミクロン)より、3倍ぐらい厚いです。

Q2.いつ、どこで、発明されたの?

2008年1月30日(水)23時40分頃、京都で発明されました。

今から2000年前、中国で紙が発明されて以来、ずうっと紙は「白色」でした。
当然、私も生まれてから、白い紙しか見たことがありませんでした。
だから、「透明な紙」ができた時は、ほんとにビックリしたし、目を疑いました。

あれから5年。。
いろんな人が、いろんな知恵を出して、どんどんレベルアップしています。
いよいよかも知れませんね!!

Q3.どうやって作るの?

木材を真っ白に漂白すると、幅15-50μm(マイクロメートル)のセルロース繊維ができます。
この植物繊維を漉きあげ・乾かしたら、「白い紙」ができます。

透明な紙の作り方も、同じです。
違いは、たった一つ!
1/1,000細いセルロース繊維(幅15nm)を漉きあげ・乾かしています。

詳しい作り方は、
木材を真っ白に漂白し、ミキサーなどで攪拌すると、幅15nm(ナノメートル)のセルロースナノファイバーができます。
この時、攪拌した水を捨てないで下さいね。
幅15nmのセルロースナノファイバーは、目に見えないほど細い繊維です。
攪拌した水は透明ですが、ただの水ではありません。そこには、ナノファイバーがタップリあります。
その透明な水を漉きあげ・乾かしたら、「透明な紙」の完成です!!

(企業の方へ:特許が山ほど出ています。ご注意のうえ、お試し下さい。)

Q4.何が、すごいの?

凄いことは、3つです。

1. 2,000年前に中国発明されて以来、ずっと白かった紙が「透明」になった。
2. その性能はプラスチックを超えて、ガラス並み!!
3. 原料は樹木。 持続的に供給可能です!!

ホントかよ?と思った方、コチラの論文等で確認して下さい。

Q5.なんで、すごいの?

「透明な紙」は、セルロースナノファイバー*がびっしりと集まった材料です。(*正しい名前は「セルロースミクロフィブリル」です。)
セルロースナノファイバーはとっても強いので、「透明な紙」は強いんです。
マグネシウム合金なみの強度という報告もあります。
(詳しくは、京大生存圏矢野研HPのコチラとかコチラPDFとか。他には日経サイエンスとか。)
セルロースナノファイバーを使った高強度材料は、京大生存圏 矢野研まで。

Q6.何に使えるの?

私達は、こんな夢が持っています。
その一つとして、太陽電池の試作にも成功しました(プレスリリース日経朝日毎日)。

nanopaper solar cell

セルロースナノファイバーは、自動車部材、バリアフィルム、(東大磯貝研プレスリリース)、ダイエタリーファイバーなどへの応用も検討されています。ちなみに、エビやカニから取り出したキチンナノファイバーも凄いですよ。これらの生物由来のナノファイバー研究は、日本が世界トップクラスです。

Q7.鉛筆で字を書けますか?

表面がツルツルしているので、鉛筆は無理です。サインペンならOKです。
鉛筆で、ガラスに字が書けず、磨りガラスに字がかけるのと同じです。

Q8.ラップと何が違うの?

ラップは、ポリ塩化ビニリデンというプラスチックを溶かしたフィルムです。(詳しくは、塩化ビニリデン衛生協議会HP教えて、塩化ビニリデン!
プラスチックフィルムは、溶かしてつくるため、どうしても性能がイマイチです。
それに対して「透明な紙」は、繊維がびっしりと集まっているため、非常に高性能です。

「ラップと透明な紙、見た目は一緒でも性能が全然違う。」と覚えて下さい。

Q9.セロハンと何が違うの?

セロハンは、紙を溶かしてつくったフィルムです。(詳しくは、レンゴーHPフタムラ化学HP
紙(セルロース)が原料なので、セロハンはかなり丈夫なプラスチックです。
しかも、スパッと切れやすいので、セロハンテープとか、包み紙として大活躍です。

しかし、繊維がびっしりと集まった「透明な紙」と比べると、やっぱり性能は劣ります。
セロハンが貧弱なのではなく、「透明な紙」がとって高性能です。

性能は、「透明な紙 >> セロハン >>>>>>>> ラップ」という感じです。

Q10.「透明な紙」、もらえますか?

ごめんなさい、ちょっと無理です。自分たちの実験用の紙をつくるので手一杯です。
多分、日本の製紙会社なら、数年以内に製造・販売してくれると期待しています。
(↑このコメント、2012年1月頃に記載しました。)

2013年3月18日、うれしいニュースがありました。
王子ホールディングス・三菱化学 世界初・セルロースナノファイバーの透明連続シート化に成功
いよいよ、日本発の新技術が完成するかも???

Q11.水に強いの?

白い普通の紙を水の中に入れるとグチャグチャになりますが、透明な紙はグチャグチャになりません。
いろいろと工夫すれば、プラスチックみたいに水を弾くようになります。

Q12.ガラスより強い?

ちょっと言い過ぎです。
曲げたり、折り畳んでも、割れません。だから、「ガラスより丈夫」という表現ならOKかな。
同じ厚みなら、ガラスのほうが高強度です。同じ重さなら、どうでしょう?ちょっと計算しないと、分かりません。

Q13.燃えますか?

紙が燃えるような「臭い」と「炎」で燃えます。
だって、紙ですから(笑)。

Q14.では、熱に強いとはどういう意味?

寒い冬や暑い夏でも、温度変化で伸び縮みしないという意味です。
線熱膨張率が、ガラス並みです。
そして、ホットプレートやオーブンに入れても(200℃)、フニャフニャにならない!!
この温度でピシッとしているプラスチック、あんまりありません。

Q15.詳しい話を聞きたいのですが?

コチラに講演会情報を載せています。是非、どうぞ。

専門的な情報が必要な方は、下記の学術論文をお読み下さい。
セルロースナノファイバーの作り方
“Obtaining Cellulose Nanofibers with a Uniform Width of 15 nm from Wood”
透明な紙の作り方
“Optically Transparent Nanofiber Paper”

セルロースソースに関して
“The Effect of Hemicelluloses on Wood Pulp Nanofibrillation and Nanofiber Network Characteristics”
“Comparison of the characteristics of cellulose microfibril aggregates of wood, rice straw and potato tuber”
表面コートによる透明な紙
“Optically Transparent Nanofiber Sheets by Deposition of Transparent Materials: A Concept for a Roll-to-Roll Processing”

© Laboratory of Cellulose Nanofiber Materials ISIR, Osaka University