研究

透明な紙 夢と希望は、ここにある。

セルロースナノファイバーとは、幅4-15nmのとても微細な繊維であり、地球上すべての植物に含まれれる無尽蔵な天然資源です。

2000年頃、世界に先駆けて日本から、セルロースナノファイバーの研究開発はスタートしました。。
日本の研究者がこの分野を牽引し、ナノファイバーの製造方法(read more …)、ナノファイバーの機械的特性(read more …)など多くの研究成果が報告されています。
そして2008年、私達は、このナノファイバーを使って「透明な紙」をつくることに成功しました。
現在は、新たなセルロースナノファイバー材料の開発、透明な紙を用いた電子機器:ペーパーエレクトロニクスの研究を行っています。

主な研究テーマ
1. 透明な紙
2. ペーパーデバイス
3. プリンテッドエレクトロニクス
4. ナノファイバー補強透明材料 (京大時代のテーマ、現在は行っていません。)

 

専門分野が異なる方へ、
こちらに、私達の研究成果を紹介した記事があります。どうぞご覧下さい。
日経ビジネスオンライン 「日本キラピカ大作戦」(2013年6月)

 

図6

1. 透明な紙

1-1 21世紀、紙は透明になった。

02

右は20世紀までの「白い紙」、左が21世紀からの「透明な紙」。
セルロースナノファイバーで紙を作ると、透明な紙ができます。接着剤やプラスチックなどは一切使っていません。 read more …

【関連文献】
M. Nogi et al. Advanced Materials (2009) DOI: 10.1002/adma.200803174
M. Nogi et al. Applied Physics Letters, (2009) DOI:10.1063/1.3154547

1-2 全光線透過率・ヘイズ

Fig1

「透明な紙」は、全光線透過率90%(理論値限界達成)、ヘイズ1%以下を達成しています。read more …
【関連文献】
M. Nogi et al., Applied Physics Letters, (2013) DOI:10.1063/1.4804361
技術情報協会、2014年11月、ISBN-13: 978-4861045639 PDF(0.2MB 開封要パスワード)

1-3 高耐熱性

加熱

ナノペーパーは非常に高い耐熱性を有する材料です。
例えば、ナノペーパーは200℃程度で加熱しても変形・黄変しませんが、多くのプラスチックは150℃程度で変形・黄変します。read more …
【関連文献】
M. Nogi et al., Applied Physics Letters, (2013) DOI:10.1063/1.4804361
Ming-Chun Hsieh et al., Nanoscale (2013), DOI:10.1039/C3NR01951A
Material Stage、2013 (12) 13-15 PDF(0.5MB 開封要パスワード)

1-4 透明性と耐熱性の両立

TOC

ナノペーパーは色々な製造方法があり、透明性が高いほど耐熱性が低いという傾向があります。そこで私達は、東大磯貝グループとの共同研究において、透明性と耐熱性を兼ね備えたナノペーパーを開発しました。read more …
【関連文献】
H. Yagyu et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, (2015), DOI: 10.1021/acsami.5b06915
Material Stage、2016年秋、公開予定

1-5 機械的特性:高強度・高弾性率・低熱膨張率

セルロースナノファイバーは、「アラミド繊維並みの高強度・高弾性、石英ガラス並みの低熱膨張率」といわれています。そんな、スーパー繊維がびっしり詰まった「透明な紙」は、高強度(約15GPa)・高弾性(約250GPa)・低熱膨張率(約5ppm/K)です。 read more …

より詳細な情報は、京大矢野研HPまで。(こちらPDFです)

2. ペーパーデバイス

2-1 持ち運びしやすいペーパー太陽電池

Fig1aミッキーラフ Fig3c2ラフ Fig3c1ラフ

透明な紙と銀ナノワイヤを使うと、軽量で折り畳み可能な透明導電膜ができます。この材料を使って、透明配線やペーパー太陽電池を開発しました。将来の太陽電池は、ポケットやリュックに入れて持ち運べるようになるかも知れません。read more …

【関連文献】
M. Nogi et al.  Scientific Reports (2015) http://www.nature.com/articles/srep17254

2-2 フレキシブル高誘電率ナノペーパー

高誘電率ナノペーパー 図1

あらゆるモノをインターネットに接続させるトリリオンセンサの実現には、アンテナやトランジスタなど電子デバイス部品の小型化や低消費電力化が重要である。誘電率が高い絶縁性基板は、トランジスタ・コンデンサなどデバイス部品の小型化・薄膜化において重要な電子部品であり、さらにリーク電流を大幅に削減することが可能であるため電子デバイスの消費電力を小さくできる。

セルロースナノペーパーに少量の銀ナノワイヤを加え、フレキシブルな高誘電率基板(k=726.5@1.1 GHz)を開発しました。この材料は、紙のようにはさみで切ることができ、紙のように折り畳むことが可能です。この高誘電率ナノペーパーを用いると、アンテナを小型化できます。このように、高誘電率ナノペーパーはデバイスの小型化や薄膜化、さらにはリーク電流の大幅な削減による省エネデバイスなどを実現できます。read more …
【関連文献】
T. Inui et al.  Advanced Materials (2014) DOI: 10.1002/adma.201404555
機能材料、2015年10月、PDF(1.5MB 開封要パスワード)

2-3 ペーパーメモリー

ReRAM

阪大産研 柳田・長島、九大農 北岡らとの共同研究において、不揮発性ペーパーメモリーを世界で初めて開発しました。紙は、これからのデジタル情報化社会においても、記憶媒体として重要な役割を担い続けるでしょう。read more …
【関連文献】
K. Nagashima et al.  Scientific Reports (2014) 4, 5532, doi:10.1038/srep05532
U. Celano et al.  NPG Asia Materials (2016) 4, 5532, doi:10.1038/am.2016.144

2-4 電気の流れる紙

透明銀紙1

阪大 古賀先生が、銀ナノワイヤやカーボンナノチューブを使って「電気の流れる透明な紙」を作りました。ペーパータッチパネルへの応用に期待できます。紙はこれからもドンドン進化し続けます!!(詳細専門情報はコチラ!、電気の流れる紙の作製方法はコチラ
【関連文献】
H. Koga  et al., NPG Asia Materials, (2014) doi:10.1038/am.2014

2-5 ペーパートランジスタ

図3

NHK放送技術研究所との共同実験において、透明な紙のうえに有機トランジスタを搭載することに成功しました。この成果は、ペーパーディスプレイの 未来に向けた大きな一歩です。将来は、紙を使ったペーパースマートフォンが登場し、紙のうえでテレビや映画、インターネットが楽しめるかも知れません。read more …
【関連文献】
Y. Fujisaki, H. Koga, M. Nogi et al. Adv. Fun. Mater. (2013), DOI: 10.1002/adfm.201303024

2-6 導電性ライン on ナノペーパー

TOC

ナノペーパーは、金属ナノインクを印刷しても滲まず、200℃@大気で加熱可能です。したがって、金属ナノ粒子や金属塩インクの印刷、スパッタ処理などで、ナノペーパーのうえにLEDライトを点灯する回路をつくることができます(左)。read more …
【関連文献】
Ming-Chun Hsieh et al., Nanoscale (2013), DOI:10.1039/C3NR01951A
Material Stage、2013 (12) 13-15 PDF(0.5MB 開封要パスワード)

2-7 高温・高湿も大丈夫! 導電性ライン on ナノペーパー

耐久性

ナノペーパーへ印刷した配線は、高温・高湿環境でも、きちんと電気が流れます。
上グラフは、ナノペーパーへ(右)とプラスチックフィルム(左)へ印刷した配線を、85℃・RH85%雰囲気下に 1ヶ月半放置した際の導電性変化を測定し続けました。read more …
【関連文献】
Thi Thi Nge et al., Journal of Materials Chemistry C, DOI: 10.1039/C3TC31220H

2-8 折り畳めるナノペーパーアンテナ

TOC 30-80mm

銀ナノワイヤインクとナノペーパーを用いて、折り畳める導電性配線(左)を開発しました。これらの材料をパターン印刷すると、高感度アンテナになります。さらに、このナノペーパーアンテナを折り畳むだけで、送受信周波数が制御できます(右)。read more …
【関連文献】
M. Nogi*, N. Komoda et al., Nanoscale (2013)、DOI: 10.1039/c3nr00231d
パルプ技術タイムス、2013年6月号、PDF(1.0MB 開封要パスワード)

2-9 カーボンナノチューブ・セルロースナノファイバーインク

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阪大 古賀らは、東大 磯貝らとの共同研究において、イン クジェッ ト印刷可能なカーボンナノチューブ・セルロースナノファイバー複合インクを開発しました。この成果を発表した論文は、Biomacromolecules誌のMost Read Articlesのトップ3(2013年4月)にランクインしました。read more …
【関連文献】
H. Koga*, T. Saito et al. Biomacromolecules (2013) DOI: 10.1021/bm400075f

3. プリンテッド・エレクトロニクス

3.1. 印刷アンテナ

インクジェット重ね塗り印刷によるアンテナの感度向上

市販無線LANアダプターのアンテナ配線を、銀塩インクで重ね塗り印刷すると、ファイルのダウンロードスピードが20%近く向上されました。インクジェット印刷を用いるため、どんな複雑なアンテナパターンもトレース可能です。さらに、銀塩インクは低温焼結可能なので、既存のアンテナデバイスへ熱ダメージを与えません。
【関連文献】
N. Komoda, M. Nogi* et al., ACS Appl. Mater. Inter., (2012) DOI: 10.1021/am301747p
技術情報協会、ISBN: 978-4-86104-490-8 C3058 PDF(1MB 開封要パスワード)

高感度な銀ナノワイヤ印刷アンテナ

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私達が開発した銀ナノワイヤペーストを印刷したアンテナは、既存の銅箔アンテナよりも優れた高周波特性を示します(右)。そして、低温焼結可能なので、プラスチック基板に印刷した銀ナノワイヤアンテナを使って、ラジコンカーを動かすこともできました(左)。
【関連文献】
N. Komoda, M. Nogi* et al., Nanoscale, (2012)、 DOI: 10.1039/C2NR30485F
技術情報協会、2013年7月 PDF(0.5MB 開封要パスワード)

ポリマー系コート層の研究

TOC

ポリマー系の受理層を印刷基板に塗布すると、受理層がインク溶媒を吸収するため、急激に加熱しても、体積抵抗率の小さな細い配線ができることを明らかにしました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. RSC Advances (2012) DOI 10.1039/C2RA21442C

多孔質系コート層の研究

撥水性の多孔質コート層を印刷基板に作製すると、同じ印刷機、同じインク、同じ基板を使っても、5倍近く電気をよく流す配線ができました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. ACS Appl. Mater. Inter. (2012) DOI: 10.1021/am300160s

配線の加熱方法

JMM TOC

イ ンクジェット用インクは、粘度がとても小さいため、印刷配線の幅が細くなると、コーヒーリング効果によって配線の体積抵抗率が大きくなることを明らかに しました。さらに、インク溶媒をゆっくり蒸発させると、細くても、体積抵抗率の小さな細い配線ができることを明らかにしました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. J. Micromech. Microeng., (2012) DOI:10.1088/0960-1317/22/3/035016
技術情報協会、ISBN:978-4-86104-596-7  PDF(0.2MB 開封要パスワード)

3.3 室温プレスによる銀ナノワイヤ透明導電膜

TOC

銀 ナノワイヤ透明導電膜は表面粗さが大きいため、ナノオーダーの薄膜を塗布する有機エレクトロニクスデバイスに使用すると、ショートしやすいという欠点があ りました。そこで、プレスして、平滑な銀ナノワイヤ透明導電膜を作製し、有機太陽電池の試作に成功しました。さらに、この方法は、非加熱・室温プレスなの で、省エネ技術として有望です。
【関連文献】
T. Tokuno, M. Nogi* et al. Nano Research, (2011) DOI: 10.1007/s12274-011-0172-3
透明導電膜の新展開 IV、ISBN: 978-4-7813-0641-4 ゲラPDF(1.5MB 開封要パスワード)

【メディア・受賞、一部抜粋】

  1. 2012年3月30日 田中貴金属グループ「貴金属に関わる研究助成金」MMS賞
  2. 2011年10月12日 半導体産業新聞
  3. 2011年2月18日 Tech On!
  4. 2011年1月25日 ”Best Poster Award” in The 14th SANKEN International Symposium

3.4 7倍伸ばしても導通する伸縮性導体

TOC

「金属粒子の分散技術」と「電気配線の印刷技術」を改良し、7倍伸ばしても導通する電気配線材料を開発しました。この電気配線は、紙基板に優れた密着性を示します。
この伸縮性導体は、ウェアラブルコンピュータ・人工筋肉など次世代フレキシブル材料に応用可能です。DOI: 10.1016/j.compscitech.2011.05.006

【関連文献】

  1. “Printable and Stretchable Conductive Wirings Comprising Silver Flakes and Elastomer”
    T. Araki, M. Nogi*  et al., IEEE Electron Device Lett., 32 (2011) 1424-1426,
    DOI: 10.1016/j.compscitech.2011.05.006
  2. “Effect of Void Volume and Silver Loading on Strain Response of Electrical Resistance in Silver Flakes/Polyurethane Composite for Stretchable Conductors”
    T. Araki* et al., Jpn. J. Appl. Phys. 51 (2012) 11PD01 (5 pages),
    DOI: 10.1143/JJAP.51.11PD01
  3. 「銀フレーク・ポリウレタンペーストを用いた伸縮性導体の開発とその応用」
    能木雅也、コンポジット材料の混練・コンパウンド技術と分散・界面制御、技術情報協会 2013
  4. 特開2012-054192 「伸縮性配線を有する導電部材」
  5. 「伸びる配線 -ポリウレタン・銀フレークコンポジット」
    能木雅也・荒木徹平ら、高分子 61(3) 118-121 (2012)
  6. 「7倍伸ばしても電気を通す超ストレッチャブル配線技術とこの研究分野における開発動向」
    能木雅也・荒木徹平ら、NIKKO Green MOOK =プリンテッド・エレクトロニクスのすべて=、日本工業出版 2011

【メディア・受賞、一部抜粋】

  1. 2011年9月8日 エレクトロニクス実装学会研究奨励賞(荒木徹平君)
  2. 2011年1月25日  “Best Poster Award” in The 14th SANKEN International Symposium
  3. 2010年9月8日 日刊工業新聞
  4. 2010年9月8日 化学工業日報
  5. 2010年9月8日 Tech On!

4. セルロースナノファイバー補強透明材料

4.1 世界初、ナノファイバー補強した透明プラスチック(Yano 2005)

Fig4

4.2 柔らかいのに伸びない、不思議なナノファイバー複合材料(Nogi 2008)

entyFig-01

能木は京大生存圏 矢野研究室に在籍時、矢野教授らとともに、セルロースナノファイバー補強透明プラスチックの開発を行いました。read more …
この研究がすべての始まりでした。
(阪大では、ナノファイバー複合材料の研究は、ほとんど行っていません。)

【関連文献】

  1. “Transparent Nanocomposites Based on Cellulose Produced by Bacteria Offer Potential Innovation in Electronics Device Industry”
    M. Nogi et al. Advanced Materials (2008)
    DOI: 10.1002/adma.200702559
  2. “Optically Transparent Bionanofiber Composites with Low Sensitivity to Refractive Index of the Polymer Matrix”
    M. Nogi et al. Appl. Phys. Lett. (2005)
    DOI: 10.1063/1.2146056
  3. “Optically Transparent Composites Reinforced with Networks of Bacterial Nanofibers”
    H. Yano et al., Advanced Materials (2005)
    DOI: 10.1002/adma.200400597

 

 

© Laboratory of Cellulose Nanofiber Materials ISIR, Osaka University